離れて見紛う月と星

 

 

 

月も太陽も存在しないそんな朝。

 

何を頼りにこの時間は成り立っているのか。

街灯の人工的な明かりだけが無機質で堪らない。

いずれにしても明かりは必要だ。

 

徐々に顔を覗かせてくる朝日が眩しい。

朝焼けと夕焼けに張り付く感傷の違いはなんだろう。

何処に向かいたくて、何処に向かいたくないのか。

 

出勤前にはすでに蟻がせっせと食物を運んでいる。

一生懸命働いているのは分かるけれど

僕だって一生懸命生きている。

誰かのためという点では僕は僕を捨て切れないんだけれど。

 

 

気付けば蝉時雨にも懐かしさを感じて

思い出せないほどに遠ざかっていく。

最後に取り残された蝉は鳴き続けたのだろうか。

 

 

夜空には綺麗な三日月が浮かんでいる。

とても綺麗だ。

綺麗だけれど、果たして離れてしまったとしても

僕は月と星を見紛うことなく見つけることが出来るだろうか。

 

たらればは置いといて。

 

明かりのある生活はやはり安心だ。

何はともあれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モラトリアム人生

 

 

雨天でも止むなく決行する生活に

拭えない湿っぽさばかりが纏わり付く。

常時稼働するエアコンが僕の自尊心を投影し

早くも出番を失った扇風機が

そっぽを向いてうらぶれている。

 

色々あった、の一行で済まされるライフイベント。

 

なるようにしかならない。

それは諦めか、居直りか。

いずれにしても、なるようにしかならないよな。

 

決定をするための決定を繰り返して

大人になりたくないと願い続けたモラトリアム人生。

 

 

渡り廊下に転げる蝉の死体。

散々嫌がっていた夏がもうすでに近づいている。

春を脱ぎ捨てた蝉は

夏を泳ぐほかないのだろうか。

 

 

いつの間にか大人になってしまった。

大人にはなりたくなかったのに。

 

 

夏は暑いから嫌いだ。

早く終わって欲しい、だなんて矛盾ばかり。

そういうものか。

 

 

散らかったままの台所とクローゼット。

そろそろ片付けくらいしないとな。

 

 

二日酔いは地続き

 

 

朝日の早朝覚醒

もう少しゆっくりと休んだらいいのに

と、布団を被る午前6時。

 

二日酔いの倦怠感に毎日は地続きだと痛感する

5月5日、こどもの日。

 

遮光カーテンに濾過される陽光を浴びながら

惰性に身を任せて秒針を追う。

せめて光合成でも出来れば社会貢献になるのだけれど。

 

 

どうにも日記が続かない。

書き留めるような出来事が無いからだろうか。

だけれど過去の投稿を振り返れば振り返るほど

今日は昨日の地続きだと実感する。

昨日があるから今日がある。

昨日を積み重ねてきたという実績がある。

 

それを証明するためにも書き続けていたい。

 

明日には二日酔いがなくなるだろうか。

いや、二日は続くのだからまだ先になるかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再燃

 

何だかんだ2ヶ月放置していたブログ。

惰性に身を任せすぎていた。ほとほと。

 

早朝より昼食の買い出しに出る。

休日のためか開店したばかりなのに混雑していた。

忙しなく鳴り響くスーパーのレジ打ち音。

生活習慣も改善しない幕の内弁当。

全くもって堕落したままで。

帰宅して早々昼食を平らげてしまった午前9時。

 

 

振り返れば振り返るほど

言葉を紡いでいた学生時代を羨ましく思う。

何故だろう。

忸怩たる思いでしかない学生時代を

追いかけてしまう思慕の襲来は

消え入りたい気持ちも運んでくるけれど

きっとそれだけじゃなかったからこそ

やってこれたのだと思う。

 

もう少し言葉を紡んでいたい。

今は言葉を見てくれる人も理解してくれる人も

褒めてくれる人も居ないけれど

たとえ独白だったとしても

自分を肯定してくれた人を肯定していくためにも

僕は僕の言葉で僕自身を肯定していたい。

 

 

再燃。

 

 

 

物憂げな瞳の一瞥に似ている

 

 

 

夜勤明けの朝。

アラームに対抗する睡魔は僕にとっては一種のメシアで

特にすることもないだろうと託けて

責任転嫁して再入眠に至る午前9時。

 

 

可燃ゴミの日に現れる烏合の衆。

ゴミを漁る烏は僕らにとっては有害で

後片付けをしないという僕と似ている部分を差し引いても

どうにも醜く映る。

 

 

だけれど烏にとっては知ったことではない。

薄汚れさえも気にするような神経質な烏は

きっと食にもありつくことは出来ないし

生き延びることさえも叶わないだろう。

 

 

烏は百度洗えど白鷺には成れないし

潔白さを求め続けていたら

色の無い闇夜に消えうる他手段はないだろう。

だけれどその逃避行動はよく自分自身を見失う。

 

輪郭を求めて肌の触れあいを求め合う少女。

痛覚が救済と錯覚するほどの解離と自傷行動。

 

潔白では居られない。

強迫観念に左右された烏は再び飛べずに溺死した。

 

生きていれば罪悪なんて付き纏うもので

もうすでに潔白では居られない。

 

だからこそ泥沼であったとしても

背負いながら、責任を果たしながら

生きていく必要があるのだろう。

 

 

 

 

過去を啄んで愛好する倒錯や

生きるという罪悪に潔白さを希求する強迫観念。

神経症の烏が自身の醜さを内省し

薄汚れた体躯を何度も洗い流そうとする。

百度洗えど落ちない汚れから逃れるように

闇夜に潜っては輪郭を見失う。

その健気な様相はあの子の黒髪に似ている。

物憂げな瞳の一瞥に何処か似ている。

 

 

 

 

せっかくならば自堕落に

 

 

気が付けば2月。

ポケモン廃人と化した1月末にはすでに

秋風が吹き立っている。

 

疎かにしていた日常生活を取り戻すべく

7時に起床する夜勤明け。

 

 

今日は目にかかるほどに伸びた髪を切りに

美容院へ。

襟足を残して欲しいという注文とは裏腹に

ばっさりと切り落とされる後ろ髪。

流行りの髪型なんだろうけれど

僕にはどうも性に合わない。

 

頭皮が荒れていると心配をされ

「お疲れですか」と言われれば疲れている気もするような

バーナム効果

高価なトリートメントの紹介に

良く分からずに購入してしまう

商業主義の奴隷の誕生日。

プレゼントはいつだって自腹さ。

 

近日仕事が多忙で職場もバタバタしている。

それが何だかんだストレスで

明日の出勤のことばかり考えて憂鬱だ。

そんな時間を休日と呼べるのだろうか。

モラトリアムに苛まれて

過ぎてゆくのは時間ばかり。

 

 

今日は節分の日ということで

夕食は恵方巻き。

そう、手抜き。

 

 

そんな日もあるよなぁと妥協しながら

惰性に傾倒し

明日への杞憂など放っておいて

せっかくならば自堕落に過ごしていきたい所存。

 

 

 

 

 

 

 

そのままで良かった

 

 

 

 

徐々に明るく色付く朝。

休日にアラームは不要。

ベッドから弾き飛ばされている布団を拾い

しがみついて再び寝入る8時過ぎ。

 

 

 

距離感。

上手く取るにはどうしたらいいだろう。

あれこれと思案しながら

淹れ立てのカフェオレで舌を焼く。

甘い物は憎めないからもどかしい。

 

感受性は豊かな方。

というよりもストレスには脆弱で

ユーモアや機知を持ち合わせていないからこそ

傷付きやすく、繊細で、神経質だ。

 

 

幸か不幸か

挫けるほどの困難を知らない。

だからこそ耐性はないのも事実だ。

 

感情には巻き込まれたくない。

巻き込まれやすさを仮に優しさと呼べど

貫き通すほどの忍耐さはない。

 

 

関心の無いものであるならば

距離を取る手立てはあるし

仕事だと割り切ることが出来れば

極度に感情移入することなく

安らかな眠りにつくことが出来るだろう。

 

 

悲劇はいつだって俯瞰的でありたい。

そりゃあそうだ。

 

美談として語ることが出来るのは

当事者では無くなったからだ。

ずるいよな。

 

 

 

ジレンマを感じるたび

神社での雨宿りを思い出す。

「帰りたくない」と泣いていた少女に

何も出来なかった不甲斐なさを思い出す。

 

下校帰りに立ち寄る公園。

錆びたブランコに揺れて

輪郭が曖昧になってゆく夕暮れ。

 

「楽しみ」があるからこそ

別れの後の淋しさも増す。

希望があるからこそ

無理にでも縋りたくなる。

そういうものだとも思っていた。

 

「助けたい」と強く思うたびに

「助けることの出来ない自分」が浮き彫りになっていった。

もどかしさに耐えきれず

「逃げ出したい」とさえ思うようになっていた。

 

理論武装した自分もいずれは錆び付いて

いつしか「問題」ばかりに目を奪われては

目の前の大切な人を見失っていた。

 

あの時の選択は正しかったのだろうか

他に何か出来ることは無かったのだろうか

時折思い巡らすこともあるけれど

結局何も分からないまま。

 

きっとやり直すことが出来たとしても

同じく葛藤し、遣る瀬ない気持ちを抱き続けるだろう。

「帰りたくない」と悲壮感が漂う不器用な笑顔に

「大丈夫だよ」と言うことしか出来ないだろう。

「バイバイ」と手を振る強がりに

「またね」と言うことしか出来ないだろう。

 

でもそのままで良かった。

 

そのままで良かったのにな。