丁寧に生きたい

 

 

 

朝からシャワーを浴びる休日。

流れる温水の安寧。

浴室は寒気を纏い

シャワーから出るタイミングを逃してしまう。

奮発して購入した高価なシャンプーが

残り半量を切って震えている。

 

退浴後の化粧水。

彼女が毎日使っているので

見よう見まねで使っているのだけれど

果たしてどんな効果があるのだろう。

僕には良く分からない。

 

 

丁寧に生きたい。

そう思いながらもふと気が抜ける時がある。

暖房がついた部屋の開いたままの扉や

置きっぱなしの飲み残した缶ビール。

埃の溜まった本棚。

なんて枚挙に暇が無いけれど。

 

丁寧に生きたい。

日に焼けて色付いたような健康色のフレンチトーストと

お気に入りのマグカップに注ぐ

ほろ甘いモーニングコーヒー

丁寧な暮らしに丁寧な言葉。

 

そんな生活に憧憬を抱くものの

なし得ないのが現実だったりする。

だからこそせめてもの悪足掻きで

惰性で生きる生活を惰性で生きるなりに

不格好な言葉で残す。

 

早起きに努めて休日を営むも

予定や計画も無く

全くもって中身はがらんどう。

 

今日の雲一つ無い青空もがらんどう。

雲のかたちでの連想遊びも出来ない。

 

そんな味気ない日常を反芻し

再度咀嚼して味を出す。

 

遮光カーテン越しの影法師。

洗濯物を干す姿を眺めながら

怪獣に見えないかと想像する。

見えないか。

 

丁寧に生きたいと願う。

いや、丁寧にしていたい。

 

早起きしたせいか眠たい。

惰眠では無く疲労感から来る眠気だと信じたい。

眠るならいっそ充実した睡眠を取るべきだ。

だなんて、

そういうことじゃないか。