落日のうら寂しさ、見栄っ張り

 

 

 

大学時代の級友が結婚したらしい。

間接的に届く報せに知らないとは言えず

忸怩たる想いに駆られた見栄っ張りは

その場で不自然に取り繕った。

結婚しようがしまいが

干渉の無い間柄ではあったのだけれど

「友達は多い方が良い」のだろう。

 

夜勤明けの朝。

休日にアラームは鳴らない。

 

午前8時。

カビ臭い浴室の清掃。

流水の安心感は正義なのだが

途絶えた時の不安感も運んでくる。

綺麗になった浴室も汚したくなくなる。

 

洗濯物がよく乾きそうな天候に

洗濯物を干さなくても良い免罪符を探す。

 

昨日の乱層雲は何処へ行ったのだろう。

雲一つ無い青空は

何処からやって来たのだろうと

それぞれの足跡を探す。

 

幼い頃の爪を噛む癖と指遊び。

親指のささくれが気になって

干渉すればするほど

見窄らしくなるのは分かっているのに

止められない衝動。

丁寧に生きたいとは思っている。

ネイルアートで綺麗に整えられた

あの娘の爪先を見習いたい。

 

予定通りの12時過ぎ。

久しぶりに両親に会った。

いつもと変わらない笑顔で迎えてくれたが

「いつも」とは

いつからいつまでのことなんだろう。

僕はと言えばいつだって子どものままだ。

 

未来の話。

背伸びからの展望。

何処まで見えているんだろう。

何が見えているんだろう。

 

背伸びした理想論では草臥れて

漠然とした未来に浮き足立つ。

地に足着けて生きねばならない

と言いながらも

自己愛は未だに背伸びをしたがっている。

わがままメンタル。

 

落日は暖かいけれどうら寂しくて

何処かへ逃げ出してしまいたくなる。

今日が終わるから寂しいのか

明日が始まるから悲しいのか

どちらにしてもうらぶれた気持ちになる。

明日も落日はやって来るけれど

今日の落日を大事にしまっておくことは

出来ない。

墜落するオレンジの空が

色濃く染まるにつれて何処か感傷的になる。

そんな美しさもあるのだけれど。

 

 

だなんて見栄を張る

 

黒い影が背丈を越して

淋しさが登る17時。