アラームが下す判決

 

時刻も分からない暗がりの部屋で

中途覚醒早朝覚醒

下るアラームの判決。

 

早朝の恋慕。

急げと言わんばかりに鳴り響くスヌーズ音と

手放せない掛け布団。

甘ったるい蜂蜜に焦げたトーストの苦味。

アンビバレンス。

 

今日はいつもより遅めの出勤で

出勤ラッシュを終えた道路はがらんどうで不気味。

職場ではすでに忙しない様相で

抱くのは遅れてやって来るヒーローのような優越感ではなく

波に乗り遅れた気持ちで感じる疎外感。

 

普段とは異なる時間に過ごす休憩室は

秒針を刻む音さえも聞こえない静寂に満ちていた。

いや、壁掛けの時計の秒針は躓くこともなく

摩擦も感じず滑らかに進んでいた。

そういえば自宅にもデジタル時計ばかりで

秒針が鳴る時計って久しく見てないな、なんて。

 

感情的になって言いたいことが言えなかったと

泣いている女性が居た。

そういうもんだろうと慰めながら

言いたいことがあるならいいじゃないかと。

いくらでも取り戻せるじゃないかと。

 

仕事終わりの降雪。

窓越しに見る以上に吹き荒んでいて

黒いトレンチコートはあっという間に色を変えた。

 

空腹感と口渇が襲う帰路に

缶ジュース50円。

どれだけの時間と等価なんだろう。

美味しかったが。

 

夕食はファストフードの持ち帰り。

820円。

どれだけの時間と等価なんだろう。

美味しかったが。

 

あとはお風呂に入って眠るだけ。

彼女も帰りが遅かったみたいでお疲れだ。

明日は遅い。ゆっくり休もう。